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Posted By Wakabayashi
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Kanal-WEBの導入を契機に、これまで利用していたLMS(Learning Management System)を解約し、Eラーニングの運用をマイページへと移行した株式会社TCJグローバル様の事例をご紹介します。
同社は、旧システムのマイページ運営において汎用性や拡張性の課題を感じていましたが、2023年にKanal-WEB(カナルウェブ)を導入し、学生向けの新しいマイページを構築しました。
これにより、業務効率やコスト削減を実現しただけでなく、Eラーニングをはじめとする多彩な機能を統合。学生生活全体を一元的にサポートするプラットフォームへと進化させました。
TCJグローバル様は1988年に設立以来、35年以上の歴史と伝統を持つ総合日本語教育機関です。東京と大阪に校舎を構え、大規模な留学生向け・在日外国人向けの日本語学校を運営。日本語教師を養成する機関としても日本トップクラスの規模を誇り、その高い日本語教育力について国内外から高い評価を受けています。
同社の代表取締役・学院長である中澤匠様、村田様、林様に導入前の課題や選定のポイント、コスト面、導入後の効果について詳しくお聞きしました。
(写真左より)
林様:講師
中澤様:代表取締役・学院長
村田様:マーケティング責任者
エンジニア依存の壁 – 高い技術力を必要とした旧システムへの危機感
同社は、日本語を学ぶ学生向けと、日本語教員養成講座の学生向けの2種類のマイページを運営しています。これらは学習者が必要な情報や連絡を得るための場として機能しています。
Kanal-WEB導入前にもマイページは運用されていましたが、当時のシステムは開発担当者が自身のプログラミングスキルを活かして構築したものであり、特定の個人に依存した状態でした。
担当者の退職が近づくにつれ、「担当者がいなくなった後、システムの修正やアップデートができなくなるのではないか」という懸念が社内で高まりました。そして、実際に担当者が退職した後は、システム管理を担えるスタッフが社内におらず、小さな改修やメンテナンスさえも困難な状況に陥りました。
このような背景から、社内リソースで柔軟に対応可能なシステムへのリニューアルが急務となりました。
中澤匠 様:代表取締役・学院長
本プロジェクトに主体的に関与し、会議で担当者との議論を重ねながら進めていったという。
成長の影で高まるコスト負担、新マイページに求められた条件
システムのリニューアルを検討するにあたり、急激なコスト増への不安があったといいます。受講生数の拡大やサービスラインの拡張に比例したコスト増加のリスクは、懸念事項の1つでした。
また、新マイページに求める重要な条件として、Eラーニングの配信プラットフォームとしての役割を必須要件として挙げられていました。単なる情報提供の場にとどまらず、利用者へ包括的な学習環境を提供できる1つのシステムが求められていたのです。
同社では、新規事業としてEラーニング事業を進めており、その際には外部のSaaSプラットフォームを活用していました。しかし、SaaSは利便性が高い反面、ランニングコストがかさみ、将来的な費用負担が懸念されていました。
林 様:業務改善/効率化を担当
講師でもある林様は、留学生視点での旧システムへの課題やニーズも感じていたといいます。
選定プロセス
約2年前から社内で導入されていたkintoneは、すでに多くの業務に深く浸透しており、その使いやすさと高い利便性が社内で高く評価されていました。この実績から、kintoneを基盤としたプラグインの導入は自然な流れとして検討されることになりました。
しかし、kintone連携については、市場の具体的な情報には詳しくなかったため、導入はまだ確定的なものではありませんでした。方向性が定まらず、社内の議論も停滞する中、次の一手を模索していました。
そんな中、CybozuDays2023で偶然ビットリバーのブースを訪れたことが転機となります。Kanal-WEBを紹介されたことで、システム見直しの糸口が見え始めす。
導入の決め手
コスト面の不安を解消する月額定額制が決め手
Kanal-WEBを導入した最大の理由の一つは、「利用者数に関わらず月額定額制で運用できる安心感」でした。
「導入時や運用時にかかるコストが投資対効果(ROI)に見合うかどうかが、判断の上で非常に重要なポイントでした」と中澤様は振り返ります。
選定プロセスでは「フルスクラッチ開発」も選択肢にありましたが、構築コストの負担が大きく、現実的ではありませんでした。また、既存のLMSにマイページ機能を追加する案も検討されましたが、標準外の機能には高額な追加費用がかかる他、後付け自体が技術的に困難な場合も多く、実現には大きなハードルがありました。
さらに、多くのLMSや類似システムが採用している「従量課金制」では、利用者数が増加するにつれコストも膨らむ仕組みとなっています。当初は想定内の運用コストであっても、受講生の増加に伴い予想を超える費用負担が発生するリスクが懸念されました。
一方、Kanal-WEBは初期構築費用こそ必要なものの、月額定額制を採用しているため、利用者数が増えても追加費用が発生せず、長期的に見て非常に費用対効果の高い選択肢となりました。また、導入後もコスト面の不安を気にせず運用でき、機能拡充や利用頻度の増加にも柔軟に対応できる点が、決定の大きな要因となりました。
林様は 「学校がマイページを持つというのは、通常であれば多額のシステム投資が必要となり、費用的にハードルが高めです。しかし、Kanal-WEBはコスト面での負担が少なく、まさに私たちにとって頼もしい存在となりました」と言います。
Eラーニングをマイページ内で運用できる柔軟性
従来のLMSでは、標準機能に限られたオプションしか提供されず、特定の機能を追加したい場合には大きな制約がありました。
一方で、Kanal-WEBはその構造が非常に柔軟で、企業や教育機関の独自の要件に合わせて機能を追加・カスタマイズできる点が大きな利点です。例えば、Eラーニングコンテンツの配信、証明書の申請など、さまざまな機能を自由に設計・統合でき、特定のニーズに応じたシステムを構築できます。
このように、Kanal-WEBは機能の拡張が非常に柔軟であり、特定の要件に合わせたシステム設計が可能なため、今後の事業の成長や変化にも対応できる高い適応力を備えていました。
林様は「企業や教育機関によって、見せたい情報や必要な機能は異なります。そのため、汎用的なパッケージシステムを使うだけでは対応が難しいケースも多々あります。Kanal-WEBはシステムの拡張性が高く、そうしたニーズに柔軟に応えられることが魅力です」と語ります。
セキュリティ問題をクリアし、スムーズな連携が実現
村田様が挙げられるのが、「セキュリティ面での安心感」と「既存システムとのスムーズな連携」です。
システムを導入する際には、単に機能が優れているだけでなく、どのようにして機関システムと連携させ、情報を安全かつ正確に管理していくかが大きな課題となります。特に教育機関では、学生の個人情報や成績など、機密性の高い情報を取り扱うことが多いため、セキュリティ対策は必須の要件となります。
村田様は「機関システムとマイページをどのように連携させるのか、また、その連携の過程で情報の同一性やセキュリティが確保できるのかを慎重に議論する必要がありました」と振り返ります。
Kanal-WEBはkintoneを基盤としたプラグイン形式で提供されるため、既にkintoneを主要なシステムとして活用していた同社にとっては、既存のセキュリティ体制を維持しながら新しいシステムを導入できるという安心感がありました。
構築から運用開始までのプロセスが迅速に進行し、効率的に稼働を始めることができます。
村田 様:マーケティング責任者
IT知識を活かし、社内のIT関連プロジェクトでアドバイザーとしてご活躍。新システムの選定プロセスにおいても重要な役割を果たした。
導入後の効果
運用コスト50%削減!LMSからの脱却で効率化
マイページにEラーニングコンテンツを統合したことで、月々の運用コストを約50%削減することに成功しました。
この成果は、従来使用していた従量課金型のLMSを解約したことが主な要因です。
従量課金制では、1ユーザーあたりの費用が数百円でも、アカウント数が多いと月々のコストが大幅に膨らむという課題がありましたが、新システム導入によってその負担を解消しました。
旧システムでは、利用者数が増える度にコストが膨らむため、提供するユーザー数を絞らざるを得ない状況でした。しかし、Kanal-WEBでは月額定額制を採用しているため、コスト面での制約が解消され、より多くの学生にサービスを提供することが可能となりました。
「予測可能なコスト構造により、サービスの拡大や新規学生の獲得に伴うコスト管理が格段に容易になりました。」(中澤様)
特に今後、学生数の増加が見込まれる中で、月額定額制で利用できるKanal-WEBは、長期的な運営において安心感をもたらす重要な存在となっています。
迅速な社内リクエスト対応
Kanal-WEBは、柔軟なサイト改善を実現し、社内からのリクエストに迅速に対応できるようになりました。
林様は「リクエストに対して、自分たちで調整できるようになり、簡単な作業であれば5〜10分程度で対応できるため、迅速に改善が行えます」と語っています。
新システムはkintoneを活用しており、ノーコードでの改修が可能です。そのため、社内リソースを有効に活用できるようになり、従来必要だったエンジニアの常駐や外部ベンダーへの依頼が不要となりました。
運営コストの削減と共に、社内リソースで迅速なメンテナンス対応を実現できる体制が整いました。
事務局の対応時間の削減!学生利便性の向上
マイページを活用することで、煩雑だった事務作業が簡素化され、スタッフの負担軽減と業務効率化が同時に実現されました。
証明書の申請
従来はメールや事務局を通じて証明書を申請をしていました。Kanal-WEBの導入後は、学生がマイページ上で直接証明書を申請できる仕組みが構築されました。
これにより、事務局の対応時間が大幅に削減され、学生側も簡単に証明書を申請できるようになりました。
学習状態の確認ページ
マイページに出席率や成績などのステータス表示機能を追加したことで、学習者は自身の進捗をリアルタイムで確認できるようになりました。特に、ビザ要件として重要な出席率については、早期に課題を発見し、適切なサポートを提供できる仕組みが整備されました。
さらに、事務局では情報がマイページに集約されたことで、問い合わせ対応が大幅に削減され、業務効率が向上。これにより、対応に費やしていた時間を他の重要な業務に充てることが可能となりました。
一元化!複数のシステムへのログイン不要
以前はLMSやWordPressなど複数のシステムを使い分けていましたが、Kanal-WEBを通じてkintoneと連携し、すべての業務を1つのシステムで管理できるようになりました。
「現在はkintoneを中心に活用し、WordPressともスムーズに連携しています。これにより、複数のシステムに個別にログインする手間が省け、kintoneだけで情報の発信や管理が可能になりました」(林様)
マイページの利用者にとっては、LMSとマイページの各システムごとにログインが必要でしたが、Kanal-WEB導入後はマイページへのログインで、学習や各種手続きなど学生生活全般をスムーズに行えるようになりました。これにより、利便性が大幅に向上し、学習環境がシンプルかつ快適になりました。
ビットリバーに頼んで良かった点
お客様の声を反映する柔軟なシステム開発
ビットリバーの「お客様の声をしっかりと聞き、それをシステムに反映する柔軟な姿勢」に評価をいただきました。
「一般的にシステム開発では、パッケージ製品が多く、カスタマイズのリクエストに対応してもらえないケースも少なくありません。しかし、ビットリバーさんは、弊社の要望を丁寧に聞き取ってくれました。
会員ごとの動画視聴履歴を確認する機能をリクエストした際も、『できません』と断られることなく、きちんと話を聞いて開発に取り組んでくれました。」と林様は振り返ります。
Kanal-WEB自体が既に充実した機能を備えていますが、それに加えてお客様の声を聞きシステムを成長させていく柔軟さが、多くの企業から高く評価されています。
インタビューを終えて
今回のインタビューを通じて特に印象的だったのは、Kanal-WEBの導入が社内の業務効率化にとどまらず、利用者(学生)の利便性にも大きな向上をもたらしたという点です。
システムの一元化により、従来の複数システムの運用にかかる手間が削減され、業務が円滑に進行するようになっただけでなく、学習や手続きの際に学生が感じる煩わしさが劇的に軽減されました。こうした改善が、利用者の満足度を高め、学習環境をより快適にしていることが明確に伝わりました。
「Kanal-WEB導入によって、今後の事業展開や学生数の増加に伴う成長機会が大きく広がったと感じています。インフラ面での制約を心配することなく、国内外を問わず新たな市場への進出や、新規プロダクトの開発をともなって、より多くの顧客層へのサービス提供が実現できると考えています。」と中澤様は語ります。
TCJグローバル株式会社様では、2024年10月にベトナムで私立大学を運営するHanoi College for Electro- Mechanicsと業務提携に関する基本合意書を締結し、グローバル教育事業への参入と海外展開をスタートされました。※本件に関するプレスリリースはこちらをご参照ください。
この新たな事業においても、Kanal-WEBご活用が広がる可能性があるのではと期待しており、今後の更なるご活躍を楽しみにしております!