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Posted By Wakabayashi
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東北コピー販売株式会社(以下「東北コピー販売」)は、福島県を拠点に複合機販売を行う企業です。同社は、お客様情報管理のデジタル化をきっかけに、自社の業務改革を進めるとともに、お客様との新しい関係構築を目指し、クラウドを活用した革新的な取り組みを行っています。
「全国ワークスタイル変革大賞2024関東・信越大会」では、関東・信越地方を中心に、デジタルツールを活用した先進的なワークスタイル変革を実践する企業や団体の取り組みに対して贈られるアワードにて、奨励賞を受賞しました。デジタルツールを効果的に活用し、業務効率化と新たな価値創造を実現している点が高く評価されています。
今回は、「顧客視点 ~お客様と同じ景色を見る~」という今期のスローガンを基に、改善改革に取り組む東北コピー販売株式会社 代表取締役 高橋剛氏に、Kanal-WEBを導入したシステムを用いた改善改革についてお話をお伺いしました。
お客様と共に進化するワークスタイル変革のフェーズへ
同社では、これまでに数多くの業務改善・改革に取り組んできました。特に、「紙文化からの卒業」「お客様の解像度向上」といったステップを経て、現在は「お客様と共にワークスタイルを変革する」という新たなフェーズに進んでいるそうです。
この変革は、お客様との対話の中で浮かび上がった具体的な課題を解決することから始まりました。
特に「費用の現状把握」や「資産管理(IT機器や車両など)」に関する悩みを耳にする機会が多く、お客様が抱える課題は共通して「管理の煩雑さ」や「可視化の不足」にあると感じたといいます。
例えば、資産がどこにどれだけあるのか正確に把握できていない、更新時期が分からないまま放置されているなど、業務効率に直結する問題が散見されました。
一方で、自社においても「差のない情報提供」という課題が浮き彫りになっていました。ハードウェアを取り扱う同社では、オフラインでの営業活動が主力となっていますが、営業担当者によって情報の伝え方やニュアンスにばらつきが生じることが悩みの種だったといいます。
同じ製品やサービスを説明していても、担当者ごとに説明内容が異なったり、お客様によって受け取る情報に差が生まれることがありました。
特に、お客様の繁忙期などは、相手の忙しさや心の余裕によって情報がうまく伝わらないこともあったそうです。そうした状況を振り返りながら、高橋氏はこう語ります。「営業担当者やお客様の状況に左右されず、いつでも正確かつ同じレベルの情報を提供できる仕組みが作れないかと、常に考えていました。」
担当者やお客様の環境や心情に左右されることなく、必要な情報を必要なタイミングで一貫して提供する──。その取り組みが、現在のワークスタイル変革の大きな柱となっています。
課題
お客様課題と自社の課題を”お客様専用マイページ”で同時に解決
ビジネスを進める中で、自社だけでなくお客様が抱える課題も効率的に解決できるシステムの必要性を強く感じていた同社。そんな折、サイボウズパートナー同士の情報交換の場で、ビットリバーからKanal-WEBの説明を受ける機会がありました。説明を聞いた後、「Kanal-WEBを活用すれば、自社とお客様の課題を1つのシステムで同時に解決できるのではないか」という考えに至ったそうです。
その発想が、現在の「1つのシステムで資産管理と情報提供を行うお客様専用マイページ構築」へとつながりました。
「最初に気づいたのは、私たちがすでに『お客様が管理したい全ての情報を持っている』という点でした。たとえば、導入年月日や契約更新日、契約書類などです。これらをわかりやすいシステムで提供すれば、お客様は費用や資産をより効率的に管理できるはずだと考えました。」(高橋氏)
マイページで「差のない情報提供」
さらに、同じプラットフォーム上で自社からお客様に対して情報提供を行うことで、必要な時に必要な情報へオンラインでアクセスできる仕組みが実現します。これにより、情報の伝達スピードや正確性が向上し、常に「差のない情報提供」が可能になると見込みました。
「このシステムが完成すれば、単にコスト削減や資産管理の効率化にとどまらず、お客様の創造力や発想力を引き出し、ビジネスの成長にも貢献できると考えました。」(高橋氏)
さらに、こうした取り組みが地域全体のデジタル化を促進する一助になれると期待したそうです。
導入の決め手
定額制で安心して運用
社内では2015年からkintoneを導入していたことから、システムの見直しにあたってはkintoneと連携できるサービスを中心に検討していました。課題解決のため、他社サービスとも比較しながら最適なシステムを模索していたそうです。導入を検討し始めた当初は、具体的な要件が固まっておらず、類似する機能を持つ複数のシステムを幅広くリサーチしていたといいます。
最終的にKanal-WEBを選んだ理由として、まず挙げられたのが「定額制」によるコスト面での安心感でした。
現在、同社では約500名のお客様が会員として登録されていますが、未登録のお客様も多く、今後さらに会員数の増加が見込まれています。このような状況では、従量課金制のサービスを利用すると、会員数が増えるごとにコストも膨らむことが懸念されていました。
その点、Kanal-WEBは会員数に制限がなく、どれだけ増えても料金が一定であるため、長期的に安定した運用が可能です。この柔軟な料金体系が、同社にとって非常に魅力的だったとのことです。
ビットリバーの手厚いサポート体制が大きな後押しに
高橋氏は、Kanal-WEBの導入を決めた理由として、ビットリバーのサポート体制が大きな後押しとなったと語ります。
同社にはプログラミングの専門知識を持つ担当者が在籍しているわけではなく、主にkintoneの標準機能を活用してシステム構築を進めています。そのため、技術的なサポートの必要性が高く、ビットリバーの親身で丁寧な対応が非常に心強かったとのことです。
レスポンスの速さ
特に印象的だったのは「レスポンスの早さ」です。問い合わせに対して迅速な回答が得られるため、問題を抱えた際にも余計な時間をかけずに解決できたといいます。kintoneに関する専門的な質問にも素早く対応してくれる点は、高橋氏から特に高く評価されました。
一般的に、サポート窓口の担当者はテクニカルな知識が不足しがちで、技術的な質問には社内の専門スタッフに確認を取った上で回答するケースが多く、結果として対応に時間がかかることがあります。しかし、ビットリバーでは創業者自らが技術者であり、その技術力が営業やプロジェクト担当者にも浸透しているため、担当者レベルでも高い技術的知識を持っています。その結果、複雑な技術的質問にもその場で的確に回答してもらえることが多く、迅速な問題解決が実現できたとのことです。
リクエストへの柔軟な対応力
また、「リクエストへの柔軟な対応力」も、同社が高く評価するポイントです。
例えば、レポートのレイアウト調整やテーブル表示の有無といった、インターフェースの細かな見た目に関する要望にも、ビットリバーは丁寧に対応。視覚的に見やすく、直感的に操作できるシステムが完成しました。このような細部へのこだわりが、システム全体の完成度をさらに高める結果につながったといいます。
導入システム構図
お客様専用マイページ トップページ
Kanal-WEBを用いて、kintone上の情報を表示。基本設定画面からの配色変更の他、必要に応じてJavaScriptやCSSを用いたカスタマイズも可能。※本件デザインは基本設定
契約情報とコンテンツを一元管理・発信
機器情報、カウンター情報、複合機の保守履歴、リース契約、ネット関連契約、クラウド契約などの契約情報をリスト化し、マイページを通じてDXコンテンツと共に発信。
これにより、お客様は必要な情報を一元的に確認でき、効率的に活用することが可能に。
導入後の効果
データの可視化、業務の効率化
Kanal-WEBの導入によって、これまで見えてこなかったデータが可視化され、業務の効率化が進んでいます。例えば、お客様が印刷枚数を一覧で確認できるようになったことで、特定の時期に印刷量が増加した理由を分析し、無駄なコストを削減するための対策を立てることが可能になりました。これまでは「仕方がない」と見過ごしていた部分にもメスを入れ、具体的な改善につなげることができています。
お客様自身でデータをグラフ化し、わかりやすく1枚の解析帳票として出力できる機能が備わっています。これにより、お客様社内での情報共有がスムーズに行えるだけでなく、視覚的に整理されたレポートとして提示できるため、社内会議や報告の場でも役立っています。複雑なデータも簡潔にまとめられることで、関係者間の理解が深まっているご様子です。
コピー使用枚数をリスト化
お客様自身でデータをグラフ化
新たな情報提供で、相談件数が増加
また、デジタル技術を活用したことで、これまで以上にお客様に有益な情報を提供できるようになり、その結果としてお客様からの要望や相談が増加しています。アジャイルやリーンスタートアップの考え方を取り入れ、小さな改善を積み重ねることで、お客様が自然とデジタルに触れる機会を増やす取り組みが加速しました。業務効率化だけでなく、こうしたアプローチが「新しい視点を持つ企業」として、お客様に良い刺激を与えることにもつながっています。
継続的な情報発信で価値を提供
DXに関するコンテンツを定期的に配信し、新規お客様も過去の情報にアクセスできる仕組みを整えた。
これにより、配信された情報の活用期間が長くなり、継続的に役立つコンテンツとしてお客様に提供し続けることを実現。
差別化が難しい業界で、新しい切り口でのアプローチ
特に印象的だったのは、お客様からいただいた次の言葉です。
「ここまで踏み込んでくれる業者は全国でも少ないですよね。東北コピー販売さんくらいではないでしょうか。差別化が難しい業界で、新しい切り口からアプローチしましたね。」
高橋氏は、この言葉を受けた瞬間を振り返りながら「自社の取り組みに自信を持てた瞬間だった」と語ります。自分たちの努力がしっかりとお客様に伝わり、価値として評価されたことが、さらなるモチベーションへとつながったのです。
お客様の反応が生み出す、社内活性化と新たな挑戦への原動力
社内に目を向けると、こうしたお客様の反応が従業員にも良い影響を与えました。自社の取り組みがお客様にとってプラスになっていることを肌で感じることで、仕事へのやりがいが一層強くなり、積極的に新しいことへ挑戦しようとする雰囲気が生まれています。
ワークスタイルの変革を進める姿勢に共感したのか、県外からの若手採用にもつながり、新しい視点を持った若手が自ら新規ビジネスを立ち上げるなど、社内にはポジティブなエネルギーが流れています。
協業によるビジネスチャンスの拡大
さらに、予想外の副産物も生まれました。同業他社から「自社でも同じ取り組みを行いたい」という相談が寄せられるようになり、SaaSのOEM事業や協業がスタートしました。単なるシステム導入に留まらず、他社との連携によってビジネスの可能性がさらに広がっていることを実感されているそうです。これからも協業を通じて、業界全体のデジタル化を促進し、新しい価値を提供していきたいと考えていらっしゃいます。
インタビューを終えて
お客様の成長が自社の成長へ 〜共に成長する姿勢が変革を生む 〜
『全国ワークスタイル変革大賞2024』を受賞された東北コピー販売様ですが、福島の東北コピー販売様と広島のビットリバーが、遠く離れた地域で協力しながら取り組む様子もまた、ワークスタイル変革の一環と捉えられています。
インタビューを通じて、東北コピー販売様のアイデアが形となり、それが次の挑戦につながる過程が明確に伝わってきました。地域の活性化を目指した取り組みが、お客様自身の成長を促し、結果として企業全体の成長につながっているのです。「お客様の成長が、自分たちの成長につながる」という考え方は、これからのビジネスにおいて重要な方向性を示しているように感じます。
ビットリバーも同様に、お客様の声を丁寧に聞き、リクエストを形にすることでKanal-WEBの品質を向上させてきました。東北コピー販売様をはじめとするお客様の成長をサポートすることが、自社やKanal-WEB自体の成長につながるという信念を持っています。お客様の業務効率化やビジネスチャンスの拡大を支えることで、共に成長していく姿勢は、今後も変わりません。
地域と共に歩み、新たな可能性を広げていくお客様の取り組みを、これからも全力でサポートしていきたいと感じたインタビューでした。