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Posted By Wakabayashi
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紙の申請書で受け付けていた従業員の勤怠申請を、kintone連携マイページ構築プラグイン「Kanal-WEB(カナルウェブ)」のLINEオプション導入で効率化したニコニコ観光株式会社様の事例をご紹介します。
注目すべき点は、「LINEを活用する」というアプローチです。高齢者が多いドライバー層の中にはLINEに不慣れな方もいましたが、徹底的に使いやすさを追求した設計により、短期間でスムーズな定着を実現しました。
本事例では、システムの選定から導入、実用化までを担当された萩原様のインタビューを通じ、その背景や成果を詳しくご紹介します。
課題
ニコニコ観光様では、2021年に社内情報の属人化を防ぎ効率的な情報共有を実現するため、kintoneを導入。これにより、業務全体の可視化が進みました。
しかし、約80名のタクシー・バスドライバーを含む従業員が所属する中、勤怠管理や有給申請の対応は依然として紙ベースで行われていました。また、申請内容の変更などは電話やメールで受け付けることもあったと言います。人に依存した処理により、以下のような課題が浮上していました。
申請漏れや確認ミス
「提出したつもりが実際は未提出」「未処理に気が付かない」「転記ミス」「電話での聞き違い」といったヒューマンエラーが頻発出社の必要性
特に送迎担当のドライバーにとっては、申請のためだけに出社する負担が大きく、非効率的
これらの課題を解決するために、同社は既存のkintoneとの連携を活かしつつ、社外での業務が多いドライバーの働き方を考慮し、スマートフォンで手軽に操作できる仕組みの導入を検討しました。
導入の決め手
サイボウズ社から紹介されたパートナー企業にコンタクトを取ったところ「LINEを活用しましょう!」と提案したのは、ビットリバーだけだったと言います。
1. LINE活用という新しい視点
他社の提案は、既存システムの強化や従来型のデジタル化にとどまるものでした。一方、ビットリバーが提案した「LINEを活用する」というアイデアは、これまでにない視点でした。
LINEを勤怠管理システムに活用することで、従業員にとって日常的に使い慣れたツールをそのまま活用できる点が大きな特徴です。新たに専用システムにログインする手間が省け、日常的に使っているLINEの延長で簡単に申請が行える仕組みは、従業員にとって非常に魅力的です。
さらに、LINEの直感的な操作性を活かすことで、高齢の従業員にもスムーズに受け入れられる可能性が高いと考えられました。このアプローチにより、幅広いスタッフ層が無理なく利用できる仕組みを実現できると期待しました。
2. 定着まで実現可能な提案内容
オフィス外での稼働となるドライバーを意識し「スマートフォンを使った管理をしたい」という漠然とした要望に対して、ビットリバーは具体的な運用イメージを提示しました。
新たにアプリをダウンロードしたり、サイトでログインする必要があるシステムを導入していた場合、パスワードの管理やログインの手間などで定着が遅れたり、定着しないリスクもありました。しかし、LINEを利用することで、そのような課題を回避し、スムーズに定着できる点も大きな利点です。
LINEを介して申請内容を簡単に入力し、それを自動的にkintoneに反映させる仕組みの提案は、同社のニーズにマッチ。視覚的に分かりやすいデモや事例紹介も行われたことで、導入後の運用イメージが明確になり、決定打となりました。
3. 現場への柔軟な対応力
ユーザーにとっての使いやすさを最優先に考えたアプローチが印象的だったと萩原様は語ります。特に、高齢者にも配慮したサポート体制の提案や、操作に不慣れなスタッフへのフォロー方法を具体的に示していた点が、他社にはない強みとして伝わりました。
これらの要素が総合的に評価され、ニコニコ観光様はKanal-WEBの導入を決断されました。同社のニーズに的確に応えた提案内容と、導入後のスムーズな運用イメージが、最終的な決め手となったといえます。
システム構図
今回導入されたKanal-WEBは、kintoneと連携したマイページ(会員サイト)構築プラグインです。
本事例では、kintone上の従業員情報と連携させた仕組みを、一般的なWEBマイページではなく、LINEに限定して構築した点が大きな特徴です。
直感的な操作設定
年配のドライバーが多いことを考慮し、誰でも簡単に操作できるよう、画面の表示を大きくし、操作手順を直感的に理解できるデザインを採用しました。
使いやすさを最優先に、視認性と操作性に特化した工夫を行っています。
直感的なカレンダー管理
ビットリバーでkintoneとプラグイン「カレンダーPlus」の連携をサポート。
カレンダー表示にて従業員の勤怠管理と車両予約管理を直感的に把握できるようになりました。
導入後の効果
導入前に抱えていた課題が解消されただけでなく、想定以上の業務効率化や従業員満足度の向上が実現しています。
1. 申請手続きの利便性向上
導入以前は、有給申請やシフト提出のためだけにドライバーがわざわざ会社に出社したり、電話やメールでやり取りを行う必要がありました。しかし、Kanal-WEB導入後は、LINEを使ってスマートフォンから申請が可能になり、以下のような利便性向上が実現しました:
- 場所を問わず申請可能
自宅や移動中でも申請が行えるため、ドライバーの負担が大幅に軽減 - 申請にかかる時間が短縮
従来の紙や電話を用いた方法と比較し、手続きが簡素化され、わずか数タップで完了できるように
2. ヒューマンエラーの削減
従来の紙や電話での申請では、以下のようなミスが頻発していました:
- 「提出したつもりが未提出だった」
- 「事務局で処理漏れが発生した」
- 「電話での申請内容が正確に伝わらない」
Kanal-WEBでは、ドライバー自身がLINEで入力した内容がそのままkintoneに登録されます。これにより、申請情報の記録が正確になり、以下のメリットが得られました:
- データ入力時のミスが発生しない
- 紙やメールを介さないことで、申請内容の確認が容易に
- 処理漏れのリスクが軽減
3. 内部業務の効率化
Kanal-WEBを通じて、管理部門の業務負担が大幅に削減されました。
- 作業時間の短縮
今まで紙やエクセルで管理していたデータがkintoneに統合され、一元管理が可能に。これにより、申請書類の確認や処理にかかる時間が劇的に短縮された。 - 業務のスムーズな引き継ぎ
kintoneの活用により、リアルタイムでの情報共有が可能になり、属人化を防止。これにより、担当者が変わってもスムーズに業務を引き継げる体制が整った。 - 時間の有効活用
削減された作業時間を、他の重要業務に充てられるようになり、管理部全体の生産性向上につながった。
導入時に苦労した点
導入当初は、高齢のドライバーが多いためLINEの利用が定着するか懸念がありました。そもそも、LINE利用経験ゼロのドライバーもいました。しかし、以下の取り組みにより、スムーズな定着が実現しました。
LINEインストールのサポート
一人ひとりに寄り添い、LINEインストールとスマートフォンに慣れてもらうサポートを行った。ガイダンス資料の作成
直感的に理解できる資料を用意し、操作方法を丁寧に説明した。移行期間の設定
2024年8月を移行期間とし、十分な準備期間を設けたことで、9月の本稼働時には利用が定着した。
導入後の見た目や操作感についても、「とにかく分かりやすく」を重視し、大きめな文字やボタンを配置した結果、高齢ドライバーにも受け入れられるシステムとなりました。
インタビューを終えて
本事例は、既存のシステム(kintone)の活用を軸に、新たな技術を柔軟に取り入れることで、組織全体の生産性を大幅に向上させた好例と言えます。また、導入時のサポート体制の充実や、従業員視点に立った操作設計といった細やかな配慮が、システム定着の成功に大きく貢献しました。
特に、高齢者を含む幅広い従業員にも受け入れられる仕組みを構築した点が際立っています。高齢者にとってデジタルツールの導入には通常高いハードルがありますが、LINEの親しみやすさと直感的な操作性、さらに視認性に配慮した「使いやすい見た目」の工夫が、その定着を後押ししました。
勤怠管理の見直しや効率化を目指す企業にとって、ニコニコ観光様の事例は、実践的な解決策として参考にすべき有益な手本となるでしょう。